飲食店の場合はスタッフが賄いを食べることがよくあります。
スタッフが喜んでくれるからと、賄いをタダで食べさせていると税務上問題になります。
スタッフにとっては賄いは嬉しいもの
私は3つの飲食店でアルバイトをした経験があります。
タダではありませんでしたが安い金額で賄いが食べられ嬉しかったことを覚えています。
2つのお店では1食200円程度で一定のメニューの中から一つ好きなものを食べられました。
もう一つのお店は半額で好きなものが買えました。
飲食店で働いているスタッフにとってはとても嬉しいものだと思います。
私が働いていた飲食店はいずれも多店舗経営しているお店だったので制度がしっかりしていました。
個人店や小規模経営のお店では賄いのルールがなく、タダで食べさせてあげているお店もあります。
そのようなお店に税務調査が入ると、「それは従業員に対する給料でしょ」と突っ込まれ、追加の税金が取られます。
問題にならない賄いの基準
国税庁のホームページの源泉所得税のタックスアンサーに次のよう載っています。
役員や使用人に支給する食事は、次の二つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。
- (1) 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
- (2) 次の金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
食事代の半額以上をスタッフが負担し、かつ1ヶ月の会社負担額が3500円以下でなければなりません。
この2つの要件を満たさない場合は会社が負担した金額の全額が給料になり、会社が源泉所得税を引かなければなりません。
一般の会社であれば、買ってきたお弁当の金額を考えれば計算できるので”食事の価額”というのが明確ですが、飲食店の場合は自店で作って出すので”食事の価額”が不明瞭です。
自店で作った場合は、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用が”食事の価額”になります。
原価が400円の食事であれば、200円はスタッフから徴収しなければなりません。
実務での対応
賄いの税務を考えるためには原価を把握する必要があります。
ただ、食べた賄いごとに原価を考えて、食事代を変えるというのは現実的ではありません。
一律にお店に合った原価を設定するのが適当でしょう。
例えば、「賄いの原価は400円まで、従業員さんの負担は200円」と決めてしまうのです。
そして会社負担は3500円までなので、1ヶ月の賄いは17回まで支給することができます。
18回以上ある場合は400円を食事代として従業員さんに負担してもらえば問題ありません。
お店での賄いのルールは明確にする
どのような基準にするにしてもルールを明確にし、スタッフに浸透させなければなりません。
例えば、「17回までは200円で食べられます。それ以降は400円かかります。給料から天引きします。」など。
今まではタダで食べさせていたので今更お金は取れないという場合は、賄い分を給料から引くのと同時に、給料自体に賄い分を加算してあげます。
この場合、従業員さんの所得が増え、従業員さんの税金が増えることになります。
賄い廃止も一つの策
思い切って賄いを廃止するのも一つの手かと。
賄いの負担も軽いものではありません。
仕入れた食材はお客様のものという意識も徹底できますし。
飲食店が利益を出し続けることは簡単ではありませんからね。
お店が永続的に繁栄することを第一にスタッフとよく話し合うことが大切ですね。
まとめ
賄いの金額は1回1回は少額ですが、スタッフが何人かいて1年間にすると結構な金額になります。
税務調査で3年分修正されるとまとまった税金が発生します。
問題になる前に体制を整えておきましょう。
〜 なんてことのない日々 〜
娘が私のことを色々な呼び方で呼んできます。
普段は「パパ」
たまに「お父さん」「しん」「しんちゃん」「しんたろうくん」
最近新しいのが「とうちゃん」(笑)